研究概要 |
O-2A progenitor cellsより株化したCG-4 cellsよりoligodendrocyte-like cells(OLC)およびtype 2 astrocyte-like cells(2ALC)を作成し、この2種類の細胞を用いた研究によって、以下の結果を得た。 1)免疫組織化学的検討による同定:2ALCの約50%はglial fibrillary acidic protein(GFAP)陽性、90%はA2B5陽性で、これらの細胞はtype 2 astrocyteの表現型を示していることが示された。 2)excitotoxicityの比較:2 mM kainateの投与24時間後の細胞障害過程を培養液中に放出されたlactate dehydrogenase(LDH)活性によって評価した。OLCの場合、LDH放出量の有意の上昇があり、AMPA型レセプターのdesensitizationを抑制するcyclothiazide投与によって、細胞障害は増強された。一方、2ALCの場合、2 mM kainate単独投与では細胞障害は見出されなかったが、100μM cyclothiazideの存在下では、軽度の細胞障害が見出された。 3)Ca^<2+>流入に関する検討:インキュベーション液中に^<45>Ca^<2+>を含む溶液中で室温で10分間2mM kainate投与後の細胞内Ca^<2+>取り込みを検討した。その結果、2ALCによるCa^<2+>流入は、OLCに比べ27.5%であった。 4)RT-PCRによるnon-NMDA型グルタミン酸レセプター遺伝子発現の検討:OLCおよび2ALCともにGluR2,GluR3,GluR4,GluR6,GluR7,KA1,KA2の遺伝子発現が認められた。 5)定量化western blottingによるAMPA型レセプターの検討:2ALCではOLCに比べて、より多くのimmunodetectable GluR2が認められ、逆にimmunodetectable GluR3とGluR4に関しては少なかった。 以上より、2ALCがOLCに比べAMPA型レセプターを介するexcitotoxicityに関してより抵抗性であることが示された。2ALCはOLCに比べ、よりCa^<2+>透過性の低いGluR2を多く発現していることがその一因と考えられた。
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