本研究は、磁気共鳴画像法(MRI)を利用した高精度脳形態的情報言粉則法と神経線維連絡計澱去を確立しそれらを併用して、脳の加齢・老化による形態的変化と機能的変化の結合性に関する定量的解析法の開発を目的としている。 初年度である本年は、現在までほとんど検討が行われていなかった脳回・脳溝単位の体積・容積計測法の開発に取り組んだ。これは、空間分解能の高い3次元MRIデータから、各脳回、脳溝を立体的に抽出し体積・容積を計測するものであり、本法が確立されると脳回・脳溝単位で加齢や各種疾患に伴う萎縮や変性を定量評価することができる。本年度、我々はこれらの計測法の開発・基礎的検討し、後頭葉の各脳回、脳溝単位の計測に成功した。また、これまでに検討を進めてきた機能的磁気共鳴画像法を用いて視覚機能が高度に分化している後頭葉を機能単位で分類し、その解剖学的構造と機能単位との関係についての研究を進めてきている。これらの成果の一部を8th Inter national conference on functional mapping of the brainにて報告した。またこれらと同時に、拡散テンソルMRI(DTI)の神経線維連絡形態計測への応用をすすめ、特に従来の解剖学的手法にて線維連絡の形態がよく知られている小脳および小脳・脳幹接合部に適用し、健常成人を対象とした検討を実施した。その結果、通常のMRIでは画像コントラストが一様であるため小脳・脳幹接合部から分離が困難であった上小脳脚・中小脳脚・下小脳脚などの連絡線維を生体を対象に分離同定することを可能とした(10th ISMRM meeting、日本磁気共鳴医学会第30回大会で報告)。
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