研究概要 |
我々はToll-like receptor 2 knockout(TLR2KO)マウスを用い心筋梗塞後のリモデリングにおけるTLRの役割について検討した。心筋梗塞モデルは麻酔後の人工呼吸管理下に冠動脈の左前下行枝を結刹することで作成した。術後4週までの生存率はTLR2KOマウス群で有意にwild type(WT)マウス群に比し高かった(71% vs. 49%, p<0.03)。心筋梗塞サイズや心筋梗塞部の炎症細胞(好中球およびマクロファージ)浸潤の程度はTLR2KO群とWT群で有意な差は認められなかった。しかし、非梗塞部領域における心筋組織の線維化はTLR2KO群でWT群に比し有意に低下しており、また同部位ではTGFβ1の発現低下(65.8%, p<0.01)およびcollagen type 1の発現低下(61.4%, p<0.05)を認めた。術後1週間および4週間において心臓超音波検査を施行したところ、左室拡張末期径(LVEDD)および左室収縮末期径(LVESD)はTLR2KO群でWT群より有意に小であった。(術後1週LVEDD(mm):4.36±0.10および4.78±0.21(p<0.05)、術後4週LVEDD(mm):4.61±0.17および5.23±0.12(p<0.01)。術後1週LVESD(mm):3.35±0.15および3.98±0.22(p<0.05)、術後4週LVEDD(mm):3.53±0.23および4.54±0.21(p<0.01)。)また左室短縮率はTLR2KO群でWT群より有意に高値であった(術後1週:23.5±2.4% vs. 16.8±1.3%, p<0.05および術後4週:24.1±2.6% vs. 14.3±2.2%, p<0.01)。上記結果より心筋梗塞後のリモデリングにおいてToll-like receptor 2が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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