研究概要 |
研究実績の概要 アンジオテンシンIIは培養心筋細胞で濃度依存性に活性酸素を発生させることを以前報告したが、今度はin vivoにて検討した。方法は、wild type (WT)マウスとアンジオテンシンIIタイプIa受容体の欠損した(angiotensin II type la receptor knockout:ATla KO)マウスにアンジオテンシンIIを浸透圧ポンプにて持続投与した。結果はWTマウスでは血圧上昇と心肥大を生じたがATla KOマウスでは生じなかった。さらに電子スピン共鳴法を用いて、心筋中のhydroxyl radical (・OH)付加物を測定したところ、WTマウスではアンジオテンシンII投与により・OHの発生が増強していたが、ATla KOマウスでは・OHの発生は増強しなかった。すなわちアンジオテンシンIIはATla受容体を介して、血圧上昇・心筋での活性酸素発生・心肥大を生じせることが明らかになった(J Cardiovasc Pharmacol)。 ES細胞はペースメーカー細胞のような自己拍動を開始する心筋細胞に分化できる。各種抗酸化剤が、拍動を有する心筋への分化誘導効率に関与するか検討した。superoxide dismutase, catalase、N-acetylcysteine、アスコルビン酸誘導体2-O-alpha-D-glucopyranosyl-L-ascorbicacid(AA2G)の中で、AA2Gのみが拍動する胚様体(EB)の数を増加させた。その増加は濃度依存性であった。AA2Gを投与したEBはNkx遺伝子・myosin heavychain遺伝子・蛋白がコントロールより早期に発現した後、拍動を開始した。AA2Gの誘導作用はコラーゲン合成阻害剤で低下した。これらの結果よりAA2Gの分化誘導作用は抗酸化作用でなくコラーゲン合成作用に起因すると考えられた(J Card Fail)。
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