研究概要 |
1)これまでに確立した心筋炎惹起性T細胞株はCM2ペプチドの抗原刺激で得られたbulk cultufe株のみである。そこで、目的遺伝子担体としての細胞株の均一化、すなわちクローン化を目指す必要が生じていた。そこで、まず段階希釈法に基づく細胞株のクローン化を試みた。しかしながら、繰り返しの抗原刺激を必要とする一方で、細胞株は容易に心筋炎発症能を低下させることが判明したため、同法によるクローン化を断念した。 2)マウスIL-10遺伝子のGFP発現レトロウイルスベクター(pLEGFP-N1,CLONTECH)に導入に成功した。このベクターはNIH3T3などの接着細胞には容易にトランスフェクトし、目的蛋白を発現することは確認できた。しかし最終目的であるCM2特異的心筋炎惹起T細胞株へのトランスフェクトはきわめて困難であり、(1)低速遠心、(2)共培養、(3)ウイルス産性の純化、を通じて遺伝子導入を繰り返し試みたが、今のところ成功裏には至っていない。今後は、ベクターの変更を視野に入れて検討を行う予定である。 3)リンパ球などの浮遊細胞への遺伝子導入の不確実性に鑑み、樹状細胞へのトランスフェクトを計画した。すなわち、脾臓浮遊細胞から樹状細胞を抽出し、上記法に基づいての遺伝子導入を現在試みている。
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