研究概要 |
1.in houseマイクロアレイを用いた心肥大刺激による心筋細胞内遺伝子発現の検討 0〜3日齢の新生児ラット培養心筋細胞(パーコール法にて精製したもの)をendothelin-1(以下ET-1:10^<-7>M)で刺激し、刺激後0,2,6,12,24時間におけるtotalRNAを抽出した。同時間経過の無刺激心筋細胞のtotalRNAも抽出し、発現遺伝子の差をin house心臓特異的マイクロアレイを用いて検討した。同アレイの特色は、1.心臓cDNAライブラリーから作成した臓器特異的アレイであること、2.サブトラクションを用いてredundancyを取り除くことにより心筋における発現量の比較的低い遺伝子も載っていること、などがある。各時間における遺伝子発現の差を時間経過でプロファイリングした結果、注目すべき遺伝子が認められた。 現在解析中であるのが刺激後12時間をピークに経時的に増加するFHL4である。FHL4はLIM proteinsの一群であるFour-and-a-Half-LIM proteinsの一つでこれまではマウス精巣特異的にmRNAが発現することが知られていたが、マウス心筋においても発現していること、またET-1の刺激により約10倍にも発現が増加することが判明した。一方、このFHL4と同様FHL proteinsに属し、FHL4と高い相同性を持つFHL1もET-1で発現の著明な増強が認められた。FHL1は心臓領域においてはout flow tractに発現が認められることがこれまで報告されており、ET-1が心臓の発生において大動脈弓やout flow tract形成等に関与していること、FHL1の発現パターンがET-1のそれに類似していることから、これらのFHL proteinがET-1の標的遺伝子として心臓発生に関与している強く可能性が示唆される。 現在これらFHL protein, ET-1 knockout mouseを用いて解析を行っている。
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