[目的]バルーン付きカテーテルによるウサギ心筋へのアデノウイルス注入法の確立。[方法]ニュージーランド白ウサギを麻酔下にて、ベンチレーターを用いて呼吸管理を行い、頚動脈を露出させ4フレンチの止血弁付きシースでカニュレーションし、透視装置下にて26ゲージ注射針が固定されたバルーン付きカテーテルを左心室内へ挿入、バルーン拡張によって心筋心内膜側に注射針を固定させた状態でLacZ遺伝子アデノウイルスを注入した。一連の操作の後覚醒させ、72時間後に再麻酔下で心筋を取り出し心筋切片標本を作製、X-gal染色を用いて心筋への遺伝子導入の程度を判定した。[結果]single needle付バルーンを用い、150μLのvirus(1.5x10^9 pfu)を心筋に注入したところ、約10〜15mm^3の心筋が貫壁性のtransfectionが確認された。Triple needles付バルーンを用いて、計450μLのvirus(4.5x10^9 pfu)を一回で心筋に注入したところ、8羽中6羽(75%)において、30mm^3の以上の領域のtransfectionに成功した。残り2羽では20mm^3以下であり心内膜と針との接触不十分が原因であった。[考察]複数のneedles付バルーンを用いた単回心筋内膜遺伝子注入により十分な領域のtransfectionが可能であり、今後の心筋梗塞の梗塞サイズ縮小に対する遺伝子治療への応用が期待できる。
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