1.骨髄間葉系細胞の心筋細胞への分化 セルソーターを用いてラット新生仔心臓よりside populationに相当する細胞を採取することに成功した。その細胞に種々のサイトカイン、増殖因子を添加したところオキシトシンを添加した場合のみ細胞形態の変化、細胞増殖が認められ、3週間後には自立は拍動する細胞を認めた。これらの細胞は、心臓特異的遺伝子、蛋白を発現しており、心筋細胞に分化したと考えられた。 2.組織幹細胞の心筋細胞への分化 心筋細胞分化誘導のin vitroでの機構を検討するために、研究協力者とともにGFP transgenic mouseより単離した骨格筋細胞を新生仔ラット心筋細胞と共培養し、骨格筋細胞に心筋蛋白が発現するかについて免疫細胞染色法により検討した。その結果、GFP陽性骨格筋由来細胞の一部はcTnT、ANP、GATA4、CSX/Nkx2.5を発現し、また、周囲の心筋細胞との細胞間接着部位にcadherin connexin43を発現して電気的機械的接着部位を形成することが明らかになった。また、骨格筋の幹細胞が多く含まれる分画として、FACSにより得られたSP(side population)分画とを骨格筋初代培養上清中の遅延接着細胞群を、それぞれ心筋細胞と共培養した。その結果、骨格筋のSP分画細胞にはMP(main population)分画に比較して、心筋細胞に分化するGFP陽性骨格筋由来細胞が多く存在した。また、骨格筋細胞培養上清中の遅延接着細胞には、筋芽細胞を主体とする早期接着細胞と比較して、心筋細胞との共培養によりcTnTを発現するGFP陽性骨格筋由来細胞が多く存在した。このことは、骨格筋内に含まれる幹細胞が心筋細胞に分化していることを示唆する。 骨格筋以外にGFP transgenic mouseより肝細胞、皮膚細胞を採取し、心筋細胞と共培養したところこれらの細胞も心筋特異的蛋白を発現した。
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