1:骨髄間葉系細胞の心筋細胞への分化 骨髄間葉系細胞を心筋細胞と共培養することにより、骨髄間葉系細胞は心筋細胞特異的な遺伝子および蛋白を発現した。異なる色素にて予めラベルしておくことにより、骨髄間葉系細胞の心筋細胞化は2種類の細胞の融合によることがわかった。興味深いことに、融合した細胞は心筋細胞の形質をもち、しかも分裂能を獲得した。骨髄間葉系細胞以外にも骨格筋由来の細胞、内皮細胞、内皮前駆細胞、心臓線維芽細胞が心筋細胞との共培養にて融合し、いずれも心筋細胞の形質を示した。骨格筋由来の細胞、内皮細胞をマウスの心臓に注入したところ、in vivoにおいても、心筋細胞と融合し、心筋細胞特異的蛋白を発現した。また心臓に凍結傷害をくわえたところ、心筋細胞は周囲の内皮細胞と融合した。 2:組織幹細胞の心筋細胞への分化 心臓より幹細胞を単離する目的で、FACSによりSP(side population)分画を採取した。SP分画細胞はヘキストdyeを排出する分子であるbcrpを発現していた。SP細胞はオキシトシンの処理により、急速に分裂増殖し、3-4週後には自律拍動する心筋細胞に分化した。また培養条件をかえることにより、心臓由来SP細胞は脂肪細胞や骨細胞に分化した。
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