研究概要 |
1.Gキナーゼ,RhoA発現アデノウイルスの構築と培養血管平滑筋・内皮細胞への遺伝子導入 本年度は、野生型Gキナーゼ、さらにGキナーゼによりリン酸化されない変異型RhoA(A188RhoA)についてCMV promoterのもとに組み込んだアデノウイルス発現ベクターの構築を試みた。今後これらの高力価アデノウイルスを調製し、培養細胞および生体内への遺伝子導入実験へ発展させる予定である。 2.Gキナーゼ,RhoA遺伝子改変動物の開発 ナトリウム利尿ペプチド/cGMP/Gキナーゼ系の遺伝子改変動物として、我々は既にBNPトランスジェニックマウス、ナトリウム利尿ペプチドB型受容体ノックアウトマウス[テキサス大学Garbers教授との共同研究]、およびGキナーゼノックアウトマウス[ミュンヘン工科大学Hofmann教授との共同研究]を開発・保有している。本年度はさらにCAGプロモーターを用いてGキナーゼのトランスジェニックマウスの開発に成功した。これらのマウスについて、無負荷時およびRhoAアゴニスト(アンギオテンシンII)負荷後における血管組織中のRhoA活性およびGキナーゼによるRhoAのリン酸化量について検討した。その結果、Gキナーゼ活性はRhoAのSer188におけるリン酸化レベルと相関する一方、RhoA活性とは負の相関を示すことが見出された。この結果から、GキナーゼによるRhoAのリン酸化を介した活性抑制のメカニズムが生体内でも存在することが明らかになった。 今年度はさらに、SM22αプロモーターを利用した野生型RhoAおよびリン酸化抵抗型A188RhoAの血管平滑筋特異的トランスジェニックマウスの開発を試み、成功した。今後このマウスを用いてGキナーゼによるRhoAのリン酸化・抑制機序が血圧・血管リモデリング・血管新生などの血管機能制御において果たす役割を明らかにしていく予定である。
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