1.レチノイド刺激したニワトリ胚漿尿膜におけるangiopoietin-2遺伝子発現変化:マイクロダイセクション法によって、漿尿膜の微少血管層からRNAを回収し、RT-PCR及び定量PCRを行った。その結果、未刺激の微少血管層と比較すると、レチノイド処理した微少血管層では、angiopoietin-2の遺伝子発現が促進することがわかった。対照的に、レチノイドアンタゴニストを処理することによって、内在性のレチノイドの作用をブロックした微少血管層では、angiopoietin-2遺伝子の発現が抑制された。 2.レチノイドの血管形成抑制効果におけるangiopoietinの関与:レチノイドの血管形成抑制効果は、微少血管のネットワーク形成(特に血管の分岐)の抑制が特徴的である。この抑制効果は、レチノイドとangiopoietin-1の同時添加により緩和されることがわかった。また、angiopoietin-2を処理することによって、レチノイドの血管形成抑制効果が擬似されることを見出した。 3.血管前駆細胞のin vivo血管形成に対するレチノイドの影響:現在、X線照射して骨髄が破壊されたマウスにGFP発現マウスの骨髄を移植し、既存の血管細胞と骨髄由来血管前駆細胞(GFP発現)によるin vivo血管形成に対するレチノイドの影響を解析している。 4.レチノイドによるangiopoietin-2遺伝子の発現調節:RT-PCR及び定量PCRの結果から、レチノイドは血管前駆細胞におけるangiopoietin-2遺伝子の発現を促進するが、成熟(既に分化した)内皮細胞・壁細胞における発現には影響を与えないことがわかった。現在、angiopoietin-2遺伝子のプロモーター領域のクローニングを終え、ルシフェラーゼアッセイにて、レチノイド応答に必要とされる領域の同定を試みている。
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