重症新生児仮死では低酸素虚血性脳症をきたす。一方中枢神経の低酸素虚血により炎症性サイトカインのtumour necrosis factor-α(TNF-α)、interleukin-1(IL-1)、interleukin-6(IL-6)が産生されることが報告されている。動物実験ではNF-κB活性化による炎症が病態形成に深く関与していることが報告されている。今回新生児仮死における末梢血単核球のNF-κBの活性化をフローサイトメトリー法で解析した。さらに神経学的予後とその活性化について比較検討した。 対象は出生24時間以内の在胎37週から39週までの9例の仮死群とし、出生24時間以内の在胎36週から37週までの9例の正常新生児を対照群とした。フローサイトメトリー法で2群の末梢単核球中のNF-κBの活性化を検討した。活性化NF-κB染色フローサイトメトリー法は末梢血単核球をCD13、CD14のPE標識後、Permiabilization bufferで細胞膜と核膜に穴をあける。マウスIgG3抗NF-κB-p65で核局在シグナル抗体を反応させFITC標識抗マウスIgG3抗体を反応させた後、フローサイトメトリーで解析を行った。 新生児仮死群では対照群に比較してCD14+単核球のNF-κBの活性化が見られた。またNF-κB活性化例では神経学的予後不良が多く、末梢血単核球が新生児仮死の病態に関与している可能性が示唆された。
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