研究概要 |
1 ATRA耐性症例の検討 全国より送付されたAPL患者の血漿から抽出し、ATRAおよびその代謝産物の測定を行なっている。小児のみでなく成人の検体も送付されており、年齢による血中動態の比較検討も行なっている。 1)成人症例と小児症例ではATRA濃度の上昇はやや小児において高値を呈したが,最高濃度到達時間、半減期については差はみられなかった。 2)栄養チューブからの投与では、著しいATRA濃度の減少が見られた。 3)透析症例ではATRAの血中動態は変化し、半減期は延長する傾向がみられた。 4)胃および大腸の手術では、ATRA濃度には変化はみられない。 5)ATRA不応例においての新規ATRA代謝産物の同定も行なっているが、現在まだ新規代謝産物は得られていない。 2 in vitroの検討 1)ATRA耐性白血病細胞を一定の条件下で培養し(ATRA存在下,非存在下)、各々の細胞からmRNAを抽出する。PCRを応用したDifferential Display法を行ない、ATRA耐性に関わる新規遺伝子を検索しているが、現在PCRを行なう条件を検討中である。今後新規遺伝子が得られたら、その全長を取得し、大腸菌を用いて蛋白で発現させ、その機能解析を行なう予定である。 2)現在、変異PML/RAR遺伝子のcDNAのコンストラクション(mPML/RAR)を作成中である。今後mPML/RAR遺伝子と転写共役因子群との相互作用を酵母を用いたyeast-two hybrid assayにて検討する予定である。またこのmPML/RAR遺伝子のATRA刺激に対する反応を、in vitroリガンド依存性転写実験(ルシフェラーゼを用いた転写活性測定法)を用いて検討し、mPML/RAR遺伝子がPML/RAR遺伝子と異なる反応をするか否かを確認する。
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