研究概要 |
新生児の採尿(0〜3生日)を行いながら、検体を出生時の在胎週数によって以下のグループに分類した。グループ1:23〜27週・グループ2:28〜32週・グループ3:33〜37週・グループ4:38〜42週と分類し、グループ4を正期産児のコントロールとした。検体はgas-chromatograpy-mass spectrometry(GC-MS)を用いて13種類の胆汁酸をSelected Ion Monitoring法で測定した。より早い時期の早期産児であるグループ1・2の尿中の総胆汁酸濃度は、グループ3・4に比べて明らかに高かった(P<0.0005)。これは胆汁酸の過剰産生、または胆汁分泌がまだ発達していないためのクリアランスの低下か、胆管輸送・肝内胆管機能・腸肝循環の未熟による可能性が考えられる。また、グループ1・2の主な尿中胆汁酸は、cholicacid・1β,3α,7α,12α-tetrahydroxy-5β-cholan-24-oic acid・3β-hydroxy-5-cholen-24-oic acidであった。グループ3・4の主な尿中胆汁酸は、cholic acid・1β,3α,7α,12α-tetrahydroxy-5β-cholan-24-oic acidであった。これは、高胆汁酸血症をともなった乳児において1β水酸化胆汁酸の形をとることで、尿中への胆汁酸の排出を促進させていると考えられる。3β-hydroxy-5-cholen-24-oic acidは胆汁酸代謝経路のacidic pathwayで認められるものであり、早期産児ではacidic pathwayが中心的に機能している可能性がある。
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