<in vitroの実験> 前年度の研究でヒト肥満細胞細胞株であるHMC-1にPhorbor-12 myristate 13-acetate(PMA)あるいは補体因子のひとつであるC5aを加えて刺激した場合にIL-8のmRNAが増加することが確認されたため、今回は同様の実験系において培養上清中のIL-8の蛋白量をELISA法を用いて測定した。PMAで24時間刺激した場合には培養上清中のIL-8が増加した。C5aで刺激した場合もIL-8が増加する傾向があったが、PMAに比較して軽度であった。次に、312nm-UVBをHMC-1に照射し、PMAで刺激した時のサイトカイン産生に与える影響について検討した。致死量に満たない量の312nm-UVBをHMC-1照射した後、PMAで24時間刺激し、培養上清中のIL-8をELISA法で測定した。致死量に満たない量の312nm-UVB照射は、HMC-1によるconstitutiveなIL-8の産生は抑制する傾向があったが、照射後にPMAで刺激する系においては、むしろIL-8の産生を増強させる効果が認められた。 <免疫組織染色> 尋常性乾癬患者の皮疹部におけるIL-8の局在を知るために免疫組織染色を施行した。脱パラフィン切片を用いた染色ではIL-8は皮疹部に浸潤している好中球に一致して発現が認められた。一方、凍結切片を用いた染色では、IL-8は主に角層内に存在する好中球および基底層を中心とした表皮ケラチノサイトの細胞質に発現しており、またこれとは別に真皮乳頭層に存在する細胞にも一致して発現がみられた。
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