研究概要 |
尋常性乾癖におけるdiacylglycerol kinase(DGK)の発現 尋常性乾癖はPKCを介するシグナル伝達系の異常が知られており、本疾患におけるDGKの発現を皮疹部、無疹部に分けRT-PCRおよびin situ hybridization法を用いて解析した。乾癖患者より同意を得て4mmトレパンメスで病変部と、非病変部を採取し、total RNAを抽出しRT-PCRを行なったところ、DGKα、-ζ、-εともに乾癖皮疹部では発現が亢進しており、in situ hybridization法では、その局在は基底細胞を含む表皮の下層に見られた。表皮の上層にはシグナルは見られなかった。また非病変部ではほとんど発現が見られなかった。DGKのアイソザイムによる局在の差は見られなかった。 創傷治癒モデルにおけるDGKの発現変動 トレパンメスでラットに皮膚欠損をつくり、1,3,5,7,15日目で皮膚欠損させた部分を含む周囲を切除し創傷治癒のモデルとした。このモデルをもちいて経時的に各アイソタイプの発現変動をNorthern blotting法ならびにin situhybridization法で解析した。DGKα、-β、-γ、-ε、-ζ、-ιについて解析したが、DGK-β、-γ、-ιの発現は全経過中見られなかった。DGKα、-ε、-ζは創傷治癒過程において発現が更新し、表皮細胞および線維芽細胞の創傷治癒において重要な働きがあることが示唆された。
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