強皮症皮膚線維芽細胞ではコラーゲン遺伝子の発現が3倍程度亢進し、Smad3のリン酸化が亢進していた。またCAGA motifおよびコラーゲン遺伝子プロモーター領域のTGF-β response elementを用いたDNA affinity immunoprecipitation assayにて強皮症皮膚線維芽細胞ではSmad3のDNA結合能が恒常的に亢進していることが示された。Smad3の過剰発現にて、正常皮膚線維細胞芽細胞ではコラーゲン遺伝子転写活性が亢進し、さらにTGF-βに対する反応性も亢進したが、強皮症線維芽細胞では変化しなかった。さらに強皮症線維芽細胞ではSmad7が過剰発現し、過剰発現したSmad7がTGF-βI型およびII型受容体とcomplexを形成していた。またSmad7のTGF-β受容体degradationに関与するSmurf1/2の発現は強皮症皮膚線維芽細胞と正常皮膚線維芽細胞では差が見られなかったが、強皮症皮膚線維芽細胞ではSmurf1/2の機能が低下していた。以上の結果は、強皮症皮膚線維芽細胞では、恒常的にSmad3がリン酸化しかつDNA結合能が亢進し、Smad7が過剰発現しているもののSmurf1/2の機能が低下しているためnegative feedbackが作用していないと考えられ、強皮症皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン遺伝子発現亢進においてautocrine TGF-β signalingが関与していると考えられた。
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