研究概要 |
アトピー性皮膚炎(AD)では、患者末梢血中の好酸球数やIgE値が上昇しており、またTh2優位の疾患と言われている。一方、尋常性乾癬(PsV)はTh1優位の疾患と言われている。本年度は、好酸球の遊走に関与するケモカインであるEotaxinと、Th2タイプのサイトカインであるIL-13、およびTh1タイプのサイトカインであるIL-12の遺伝子多型解析を、AD患者やPsV患者を対象に行なった。 本研究への協力に同意して頂いたAD患者約100名、PsV患者約100名、および健常人100名から末梢血を採取した。採取した血液よりgenomc DNAを抽出し、PCR-RFLP法により遺伝子多型を解析した。 Eotaxin遺伝子多型に関しては、AD患者を対象に解析した。プロモーター領域とエクソン領域の遺伝子多型を検討したところ、どちらもADの疾患感受性とは相関しなかったが、プロモーター領域の遺伝子多型では、AD患者血清中のIgE値との相関が認められた(Tsunemi et al. J Dermatol Sci 29:222-8,2002)。 IL-13遺伝子多型に関しても、AD患者を対象に解析した。G4257A多型において、A遺伝子がAD患者では健常人に比べて有意に増加していた(39%vs29%,p<0.05,Tsunemi et al. J Dermatol Sci 30:100-7,2002)。 IL-12遺伝子多型に関しては、AD患者とPsV患者を対象に解析した。A1188C多型において、A遺伝子がAD患者では健常人に比べて有意に減少しており(41%vs51%,P<0.05)、PsV患者では健常人に比べて有意に増加していた(60%vs51%,p<0.05,Tsunemi et al. J Dermatol SCi 30:161-6,2002)。
|