研究概要 |
代表的な皮膚アレルギー性疾患としては、アトピー性皮膚炎(AD)と尋常性乾癬(PsV)が挙げられ、前者はTh2優位の、後者はTh1優位の疾患と言われている。また、ADでは末梢血中の好酸球数が一般に増多している。今年度は、Th2タイプのケモカインであるTARC/CCL17と、好酸球に発現しその遊走に関与するケモカイン受容体であるCCR3と、炎症性サイトカインであるTNF-alphaの遺伝子多型解析を、AD患者やPsV患者を対象に行った。 TARC遺伝子に関しては、promoter領域に1箇所(-431C>T)、exon 3に2箇所(2134C>T,2037G>A)の遺伝子多型を見い出した。また健常人において、-431T alleleを持つ人は、持たない人に比べて血清中のTARC値が有意に高かった。しかし、喘息患者やAD患者においてこの遺伝子多型との明らかな相関は認められなかった(Sekiya et al. Immunogenetics 54 : 742-5,2003)。 CCR3遺伝子多型に関しては、英国の喘息患者において51T>C多型との有意な相関が報告されている。そこで、本研究でもAD患者を対象に51T>C多型を解析したが、有意な相関は認められなかった(Tsunemi et al. J Dermatol Sci 33 : 130-3,2003)。 TNF-alpha遺伝子に関しては、promoter領域に2箇所,(-308G>A, -238G>A)遺伝子多型が知られており、西欧のPsV患者において-238G>A多型との有意な相関が報告されている。そこで、本研究でもPsV患者を対象に-308G>A,-238G>A多型を解析したが、有意な相関は認められなかった(Tssunemi et al. Dermatology 207 : 371-4,2003)。
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