研究概要 |
1 HLA-Aサブタイプ間におけるペプチドの交叉反応性の検討 腫瘍浸潤リンパ球から樹立したHLA-A^*0201拘束性MART-1あるいはgp100特異的メラノーマ反応性CTLが、対応するT細胞エピトープペプチドで感作したHLA-A^*0206あるいはHLA-A^*0207陽性EBV-B細胞を認識するかどうかをT細胞からのIFN-γ分泌アッセイにて検討した。その結果gp100-209特異的CTLであるTIL1520は、gp100-209で感作したHLA-A^*0206およびHLA-A^*0207陽性EBV-B細胞を認識し、gp100-280特異的T細胞クローンを含むTIL660はgp100-280感作HLA-A^*0206陽性EBV-B細胞を認識した。またTIL1520とTIL660はHLA-A^*0206遺伝子を導入したメラノーマ細胞も認識した。したがって、gp100-209とgp100-280は、検討したHLAサブタイプ間で交叉反応性をもち、しかも、メラノーマ細胞において、内因性にプロセスされてT細胞に認識されることが示された。したがって、これらのペプチドは、HLA-A^*0206やHLA-A^*0207患者においても、使用できる可能性がある。 2 HLA-A^*0206陽性健常人末梢血リンパ球からのCTL誘導 上記により、HLA-A^*0201結合性gp100ペプチドは、HLA-A^*0206あるいはHLA-A^*0207にも内因性にプロセスされることが示唆されたので、次に、HLA-A^*0206陽性健常人リンパ球から、実際にペプチド特異的、メラノーマ反応性T細胞が誘導できるかどうかを検討した。HLA-A^*0206陽性健常人の末梢血リンパ球をgp100-154,-209,-280の3種類、それぞれのペプチドにて感作した刺激細胞を用いてin vitroにて4-6回刺激し、樹立したT細胞の抗原特異性を検討したところ、gp100-280刺激により、gp100-280感作HLA-A^*0206陽性EBV-B細胞、HLA-A^*0206とgp100遺伝子を同時導入発現させたCOS7細胞、HLA-A^*0206遺伝子導入メラノーマ細胞を認識するCTLが誘導できた。
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