本研究の目的は日本人の正常人100人に関してチロシナーゼ遺伝子配列のデータベースを構築し、これを公開することで、各研究機関における白皮症診断の際に必要な遺伝子変異の検証の労を減少させることである。 平成14年度の目標は日本人健常者100人を対象にチロシナーゼ遺伝子のエクソン、エクソン周辺及びプロモーターの全配列をダイレクトシーケンス法により決定することであった。具体的には、まず集めた日本人健常者109人のDNAを用いて、PCRによりチロシナーゼの各エクソン、エクソン近傍及びプロモーター配列をそれぞれ増幅した。この際polymeraseはアニーリングの正確性を期すために、Hot start法が容易にできるABI社のTaqGOLDを使用した。PCR後Millipore社のMultiScreen PCR plateを用いPCR productを精製し、アガロース電気泳動とデジタルカメラによる泳動像の撮影後に、画像解析ソフトSCION IMAGEを用いDNA量を測定した。精製PCR productを鋳型としてBeckman CoulterのDTCS kitを用いてサイクルシーケンス反応を行い、ワットマン社のフィルターユニットに膨潤したSephadexG-50を加えたカラムで精製した後、名古屋大学共通機器センターに設置されているBeckman Coulter社のCEQ2000XLを用いてDNAの配列を解読した。DNAの配列は各々のPCR productごと双方向に解読され、検証が行われた。その後配列アライメント用ソフトClustal Xを用い遺伝子配列の多型の検出を行った。現在これらのデータをまとめ論文を執筆し、提出の準備を進めている最中である。
|