研究概要 |
私は、ヒト皮膚に存在する成熟した肥満細胞を単離しSCFを含有する無血清培地で培養することで,従来は増殖能を有さないと考えられてきたヒト肥満細胞が,皮膚結合織型肥満細胞としての形質を保持したまま増殖することを明らかにしたが,このヒト肥満細胞増殖のメカニズムについてCD13に注目して解析を行った。 1:皮膚由来ヒト肥満細胞の培養を行い,ヒト結合織型としての形質を保持していることの確認を,各種刺激に反応してのヒスタミン放出能を中心としてさらに進めた。 2:ヒト肥満細胞株であるHMC-1や臍帯血由来ヒト培養肥満細胞,ヒト皮膚から分離した直後の細胞,およびこれを培養して得られる皮膚由来結合織型ヒト培養肥満細胞におけるCD13の発現を,フロー・サイトメトリーを用いて確認した。 3:HMC-1細胞をモデルとして,発現するCD13のaminopeptidase Nとしての酵素活性を器質であるLeu-pNAの分解能を指標として確認した。 4:aminopeptidase Nの特異的酵素阻害剤であるactinoninあるいは対照としてaminopeptidase Bの阻害剤であるarphamenine Bを添加し,CD13活性が抑制されるか,さらに実際にヒト肥満細胞株であるHMC-1細胞の増殖が抑制されるかを検討し,HMC-1細胞はCD13の抑制により増殖が減少するものの,aminopeptidase Bの阻害では増殖に影響を受けないことを確認した。
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