研究概要 |
<結果> (1)培養ヒト表皮角化細胞におけるセラミド合成及び分解に関与する酵素群のmRNA発現に対するTh1,Th2サイトカインの影響。(^<32>P-dCTPを用いた半定量的RT-PCRによる検討) IFN-γは、TNF-αの存在下に、分解酵素であるceramidaseの発現を抑制し、合成酵素であるsphingomyelinaseの発現を亢進させた。一方、IL-4は、単独又はTNF-α存在下にsphingomyelinaseの発現を亢進させたが、ceramidaseの発現には影響しなかった。 (2)表皮シートにおけるセラミド合成及び分解に関与する酵素群のmRNA発現に対するTh1,Th2サイトカインの影響。 培養ヒト表皮角化細胞における場合と同様、IFN-γは、TNF-αの存在下に、ceramidaseの発現を抑制し、sphingomyelinaseの発現を亢進させた。IL-4は、このceramidaseの発現抑制効果に対し影響しなかったが、sphingomyelinaseの発現亢進作用を抑制した。 (3)表皮シートにおけるセラミド量に対するTh1,Th2サイトカインの影響。(thin-layerchromatographyによる検討) サイトカインによるインキュベーションを3日間行ったところ、培養液のみの場合と比較し、IFN-γ単独又はTNF-αとIFN-γの存在下では、表皮シートにおけるセラミド量が増加していた。 <考察> 酵素群mRNA発現レベルの検討からは、Th2の存在は、皮膚バリアーの構築又は修復において不利である可能性が示唆された。さらに、セラミド量に対する影響を検討中である。
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