<実験結果> (1)TNF-αの存在下でTh1サイトカインであるIFN-γは、健常者の皮膚を用いた、培養ヒト表皮角化細胞(NHEK)及びヒト表皮シート(NHESheet)における、セラミド分解系の酵素であるceramidaseのmRNA発現を抑制し、セラミド合成系の酵素であるsphingomyelinase及びglucocerebrosidaseの発現を増強した。 (2)TNF-αの存在下でのIFN-γによる、NHESheetにおけるsphingomyelinase及びglucocerebrosidaseの発現増強作用は、Th2サイトカインであるIL-4の添加により抑制された。 (3)TNF-αの存在下でIFN-γは、NHESheetにおけるセラミドの合成を促進したが、IL-4は、この合成促進作用を抑制した。この結果は、ヒト3次元皮膚培養モデルとして用いた市販のTESTSKIN LSE-highを用いた系においても再現された。 <結論> Th2サイトカインの存在は、表皮におけるセラミド合成に対し抑制的に作用する。表皮の角層細胞間に存在するセラミドは、皮膚バリア機能の構築において重要な因子であることから、以上の結果は、Th2サイトカインの存在が、皮膚バリア機能の構築ないし修復において不利な要素となり得る可能性を示唆している。
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