研究概要 |
ハプテン2,4-dinitrofluorobenzene(DNFB)対するアレルギー性接触皮膚炎(ACD)のモデルマウスを用いて、ACDでの効果細胞であるCD8+T細胞の早期皮膚浸潤と,それに遅れて浸潤する調節細胞であるCD4+T細胞の、選択的,時間差的皮膚浸潤機序について検討してきた。平成14年度はACD部位で発現するサイトカイン,ケモカインについて、経時的変化,また重要となるものの同定を主に行った。BALB/Cマウスを用いて、0.5%DNFBで腹部を感作し、5日後に耳介に0.2%DNFBでchallengeを行い、その24時間後にマウスの耳介を標本として回収した。マウスの耳介よりtotal RNAを抽出し、cDNAマイクロアレイ(GEArray KIT)を用いて炎症性サイトカイン,ケモカインのmRNAの発現を評価した。その結果、ケモカインとして活性化,エフェクターT細胞の反応に重要であるCXCL-9(MIG),CXCL-10(IP-10)や、マクロファージ誘導に関わるCCL-8(MCP-2),Th1細胞に発現されるCCR5(RANTES, CCL5のレセプター),サイトカインとしては炎症調節性に作用するIL-11,13、proinflammatoryサイトカインであるIL-17BのmRNAの発現が正常皮膚に比して増加していた。2回の実験で同様の結果を得た。現在行っている実験として、1)これらのサイトカイン,ケモカインの経時的変化の評価,2)ACD病変部での蛋自レベルでの発現細胞の同定,これらと平行して接着分子の発現パターンについてもcDNAマイクロアレイを用いて評価している。平成15年度はin vivoでこれらの分子の抑制マウス(抗体投与,ノックアウトマウス)でACDに対する各ケモカイン,サイトカインの役割を検証する予定である。
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