正常マウスにリコンビナントGM-CSFまたは、樹状細胞の分化を誘導し増幅させるもう1つのリコンビナント分子であるFlt3 ligandを皮下投与し、皮膚の樹状細胞サブセットについてフローサイトメトリーにて検討したところ、正常皮膚において、皮膚樹状細胞は表面マーカーの異なる複数のサブセットを含んでおり、主に、myeloid、lymphoidの樹状細胞が含まれ、plasmacytoidの樹状細胞もわずかながら存在していると思われた。GM-CSFはmyeloid、plasmacytoidサブセットを、Fli3 ligandはこれら3系を増幅するが、その割合は異なり、Flr3 ligand投与により、lymphoid streamの増幅がみられた。また、Ia-B220+細胞群が顕著に増幅されていたが、これらはCD19-でありB cellではなく、近年の報告でFlt3がB cellには発現していないことを考え合わせ、他の、おそらくlymphoid precursorであると思われた。Flt3 ligandおよびGM-CSF投与群に示適濃度以下のハプテンにより皮膚感作を行った結果、コントロール群と比べ、Flt3 ligand投与群で過敏反応が増幅されたが感作には至らず、GM-CSF投与群ではむしろ過敏反応が抑制された。これらのマウス所属リンパ節でのサイトカイン産生を調べたところ、Fit3 ligand投与群でIFNγ mRNAの発現が亢進していた。皮膚における樹状細胞の遊走と分化については未だ不明の点が多く、これら増殖因子によって真皮内に増幅される樹状細胞はいずれも未熟な細胞であり、感作における各樹状細胞の役割をさらに検討する必要がある。
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