癌の治療効果判定は様々な治療が行われた後にCTやMRI等の形態学的評価で行われている。しかし、その効果を治療中に予測することは形態学的検査では不可能である。一方、PET検査は代謝診断薬を用いるため細胞の代謝の評価が容易で、例えば^<18>F-FDGでは癌細胞の糖代謝、^<18>F-FAMTでは癌細胞のアミノ酸代謝、^<11>C-cholineでは癌細胞の細胞膜代謝の測定が可能である。平成14年度は進行乳癌症例の化学療法前後に^<18>F-FDG PETを施行し、PET検査が治療効果予測に有用か否かを検討した。対象は7名の乳癌患者である。方法は治療前後に^<18>F-FDG PETを施行し、定量的評価として腫瘍領域に関心領域を設定し、単位体重あたりの投与量に対する集積比であるstandardized uptake value(SUV)を算出した。治療前のSUV値をSUV_<1st>、治療中のSUV値をSUV_<2nd>として治療の変化率(SUV_<1st>-SUV_<2nd>)を求め、抗癌剤に対する治療の反応を組織学的評価から反応群と非反応群に分け検討した。結果、反応群は5例、非反応群は2例であった。反応群のPETでの変化率は70%、非反応群の変化率は10%で両者に有意差が得られた。この結果から、乳癌症例では治療途中の^<18>F-FDG PETを施行することで、抗癌剤の治療効果予測が可能なことが示された。来年度以降、乳癌以外の肺癌や悪性リンパ腫症例にも^<18>F-FDG PETを施行し、治療途中に効果予測が可能か否かを検討したい。更に、^<18>F-FAMTや^<11>C-cholineなど^<18>F-FDG以外のPETトレーサを用い、どのトレーサが治療効果予測に有用なのかを検討する。
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