癌の治療効果判定は様々な治療が行われた後にCTやMRI等の形態学的評価で行われている。しかし、治療後の瘢痕組織なのか癌病変の残存なのかの区別は形態学的評価では困難な場合がある。一方、PET検査は代謝診断薬を用いるため細胞の代謝の評価が容易で、例えば^<18>F-FDGでは癌細胞の糖代謝、^<18>F-FAMTでは癌細胞のアミノ酸代謝、^<11>C-cholineでは癌細胞の細胞膜代謝の測定が可能である。平成15年度は肺癌症例の術前化学療法前後に^<18>F-FDG PETを施行し、PET検査が治療効果判定に有用か否かを検討した。対象は19名の肺癌患者である。方法は術前化学療法前後に^<18>F-FDG PETを施行し、定量的評価として腫瘍領域に関心領域を設定し、単位体重あたりの投与量に対する集積比であるstandardized uptake value(SUV)を算出した。治療前のSUV値をSUV _<1st>、治療後のSUV値をSUV _<2nd>として治療の変化率(SUV _<1st>-SUV _<2nd>)を求め、抗癌剤に対する治療の反応を組織学的評価から反応群と非反応群に分け検討した。結果、反応群は14例、非反応群は5例であった。反応群のPETでの変化率は72.94%、非反応群の変化率は26.35%で両者に有意差が得られた。この結果から、肺癌症例では治療前後の^<18>F-FDG PETを施行することで、抗癌剤の治療効果判定が可能なことが示された。来年度以降、肺癌以外の乳癌症例にも^<18>F-FDG PETを施行し、治療効果判定が可能か否かを検討したい。更に、治療途中に^<18>F-FDG PETを施行し治療効果予測が可能か否かを検討したい。
|