研究概要 |
本年度は、センチネルリンパシンチのリンパ節検出能を、^<99m>Tc-Snコロイド、^<99m>Tc-HSAD、^<99m>Tc-フチン酸の3種類の薬剤、および投与方法の違いで比較検討した。対象は理学所見、超音波検査・X線CTによりリンパ節転移なしと判定された乳癌患者50症例である。 シンチグラフィでのリンパ節の描出は、全体では39例(78%)であり、放射性医薬品別では、^<99m>Tc-Snコロイド:2/7(29%),^<99m>Tc-HSAD:7/12(58%),^<99m>Tc-フチン酸:30/31(97%)であった。投与部位別の描出は、乳輪下投与群で、29/30(97%)、腫瘍周囲投与群で10/20(50%)であった。 なお、術中のガンマプローブによる同定率は全体で38/50(76%)であった。使用した放射性医薬品別では、^<99m>Tc-Snコロイド:1/7(14%),^<99m>Tc-HSAD:9/12(75%),^<99m>Tc-フチン酸:28/31(90%)であった。投与部位別の同定率は、乳輪下投与群で、27/30(90%)、腫瘍周囲投与群で11/20(55%)であった。 FDG-PETは3症例に施行し、原発巣は全例で検出できた。リンパ節転移の判定は全例陰性であったが、病理学的には、転移陽性は1例、陰性は2例であった。なお、病理学的に陽性であった症例ではセンチネルリンパシンチで描出できず、術中のガンマプローブでの同定もできなかった。 以上の結果より、^<99m>Tc-フチン酸を用い、乳輪下投与する方法が最も優れていると考えられた。次年度以降は、主としてこの方法を用いて、センチネルリンパシンチの症例数を増やし、FDG-PETとの比較検討を加える予定である。
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