研究概要 |
昨年度は、高度拡散強調画像を用いた大脳白質の異常の検出について研究した。今年度は、高感度拡散強調画像を用いた大脳皮質の評価の可能性について基礎的な研究を行った。拡散強調画像を用いた大脳皮質の評価において最も大きな問題点は、皮質周囲の脳脊髄液(cerebrospinal fluid、CSF)のpartial volume effectのため、皮質の正確な見かけ上の拡散係数の測定がむずかしいことである。これを克服するため、fluid-attenuated inversion recovery (FLAIR)法を利用した拡散強調画像撮像法について検討を行った。FLAIR法を用いることにより、CSFの信号を抑制し、そのpartial volume effectを軽減できると予想した。9人の正常被験者の脳について、従来の拡散強調画像とFLAIR法を用いた拡散強調画像での撮像を行い、定量的に比較した。その結果、同法を用いた場合、従来の方法に較べて、脳内ボクセルの平均拡散係数(mean diffusivity, MD)ヒストグラム解析において、平均のMD値が有意に低下し、ピークの高さが有意に増加した。また、皮質のボクセルを分離し、その平均のMD値を測定した結果、FLAIR法では、従来の方法に較べ有意に平均のMD値が低下した。これらの結果から、FLAIR法を利用した拡散強調画像は、従来の方法に較べてCSFのpartial volumeの影響をより軽減し、正確な皮質のMD値の測定に有用である可能性が示唆された。 これらの成果は、論文発表する予定である。
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