研究概要 |
平成14年度の研究の結果、閉鎖孔下縁を基準として測定した場合、針は平均下方へ2,5mmの移動があり、金属片を基準とした場合、下方へ3,2mmの移動が認められた。今年度はその原因を確認するため以下の測定を行なった。 1:アプリケータ針とテンプレートのずれの測定 針がテンプレートに刺入されている部位にマーキングし、照射期間中のテンプレートと針のずれを確認した。検討対象は10例だが、結果は1mm以内であり、テンプレート内で針が移動する可能性は極めて低いと考えられた。また、針と刺入部の皮膚面にもマークを付け、針がテンプレートごと移動していないか測定したが、ほとんど移動が無いことが確認された。よって、照射期間中の患者の固定状態は、針の移動に大きな影響は及ぼさないと考えられた。 2:前立腺内に挿入したマーキング用金属片間の測定 当院ではエコーガイド下で前立腺のapexおよびbaseに金属片を挿入し、照射範囲の決定に利用しているが、これを用い照射期間中の前立腺の動き(大きさ)を確認した。対象は33例で、組織内照射の直前に単純写真を撮影し、金属片の間の距離を測定した。また、その距離を各照射時期ごとに比較した。その結果、1回目から2回目の照射(1-2)の間隔(約16時間)では平均1.7mm、同様に2-3(約6時間):平均0.5mm、3-4(約18時間):平均0.1mm、4-5(約6時間):平均0.2mm、1-5(3日間):平均2.5mmであった。つまり3日間の照射期間中にapex-base間は平均2.5mm開く結果となった。また、1回目から2回目の間に開く距離がもっとも多いことも確認できた。開く理由として針の刺入による浮腫や、前立腺内の出血、及び照射による浮腫が原因と考えられた。患者の固定やテンプレートの工夫で針の移動を制限するよりも、出血や浮腫の程度を把握し、治療計画の際に役立てや工夫が必要と考えられた。
|