平成15年度は針の移動の測定方法を確立し、金属片を基準にした場合、平均3.2mmの移動(針の抜け)が確認できた。また、その原因として患者の体動よりも、出血や浮腫にこる前立腺の腫大による可能性が高いことも予測された。その後さらに症例を車ね、当照射法の治療成績とともに針の移動が局所制御に及ぼす影響を検討した。対象は照射後2年以上経過した97例で内訳はLow risk群14例、Intermediate risk群27例、High risk群51例である。結果は全症例の2年生化学的無再発率(bNED)は82.9%で、因子別に分けるとGleason Score(GS)とリスク分類で有意差が認められた(GS別は6以下が94.4%に対し、7以上は6.7.8%、P=0.002、リスク分類別はL/I/Hがそれぞれ100%、88.6%、73.4%、P=0.36)。針の移動別による2年局所制御率は7mm未満(78例)が83.0%に対し、7mm以上(8例)は62.5%と、有意さは認められなかったものの(P=0.18)、針が抜けると局所制御が低下することが確認できた。針の移動に対する対策として、線源の停留点を前立腺上縁よりさらに5mm頭側に設定し、針が移動しても前立腺底部の線量が低下しないように留意した。また、初回照射時にアプリケータ針のテンプレート刺入部にマーキングを行なうことで、残りの照射時に個々の針が移動していないか確認できるように改善した。今後は以上の改良点二注意し、症例を重ねて局所制御の更なる向上を目指す予定である。
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