脳腫瘍手術のための脳機能野の同定のため、functional MRI (fMRI)の臨床的有用性を確立する目的で本研究を行っている。運動野についての有効性は証明されたが、言語野の同定についてはまだ不十分である。言語野の同定に関連する因子の中から解析方法を選び検討した。 <対象>脳腫瘍(神経膠腫)13例。<方法>MR機種は東芝EXCELART1.5T。taskは無言のしりとり、関心領域を両側下前頭回とし、解析は(1)東芝オリジナルのソフトウエア(TO)で、初期値を0.25、0.5、0.75とし、線形相関係数画像を求めた。(2)statistical parametric mapping99 (SPM)ではt検定の閾値を0.05および0.001とした。(1)、(2)とも時間的な信号変化を示すdynamic解析を加えた。これらの結果と利き手およびアミタールテストで確定された優位半球に対して比較した。<結果>fMRI上の賦活部を、(両側、左側、右側、評価不能)としてそれぞれの症例数を示す。TOにて初期値0.25(10、2、0、1)、0.5(9、1、1、2)、0.75(2、3、0、8)、dynamic解析(2、9、0、2)。SPMにて、閾値0.05(7、5、0、1)、0.001(1、2、0、10)、dynamic解析(7、5、0、1)。<考察>TOで、初期値を変化させることでむしろ評価不能例が増加する。左右の判定困難な場合、dynamic解析はより左右差が明瞭になり有用であった。SPMではt検定閾値は0.05が適切であり、dynamic解析の有用性は認められなかった。想定された言語野とfMRIでの賦活部について、TOでのdynamic解析、SPM(0.05)の併用が有用と考えられた。
|