急性呼吸促迫症候群;ARDSは、病態生理の立場からも臨床的にも多彩な病態を含んでおり、適切な鑑別診断と個々の病態に即した治療が必要と考えられる.今のところ、本病態において鑑別診断や治療法選択に必要な情報が非侵襲的に得られる方法で確立されたものはない.他の病態で既に有用性の確立されている高分解能CTは、非侵襲的に短時間で形態情報が得られる検査法であり、ARDSの診断のみならず臨床的指標としての有用性を持っている可能性がある.このことは、他の多くの文献や我々が過去に行った研究において示されている.結果がまとまっていないため、本研究に基づく学会・雑誌等での成果発表は今年度は未だできる状態ではないが、第一段階として直接肺障害と間接肺障害の違いによる高分解能CT所見の違いをretrospective studyとして公表する予定である.なお、平行して行う予定であった病態解析の指標の抽出および各種治療法の効果判定に関するprospective studyについては、上記課題の成果を参考にプロトコールを作りなおして行うこととし、15年度より開始することとした.今後の問題点として、病理組織学やmolecular biologyの立場からの考察が、病理組織学的検索が必ずしも容易ではない本病態において、何処まで可能かということが挙げられる.
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