研究概要 |
平成14年度は、当初の予定通り、新潟県糸魚川市在住の高齢者(65歳以上)を対象に、平成9年から10年にかけて施行した疫学調査によって、DSM-IVにてアルツハイマー型痴呆と診断、推測された対象に対し、再度疫学調査を行った。今回の調査ではMMSE(Mini-Mental State Examination)だけでなく、痴呆の重症度を評価するCDR(Clinical Dementia Rating),柄澤式「老人知能の判定基準」も施行すると共に、生活能力の指標であるN-ADL(N式老年者用日常生活動作能力評価尺度)も同時に施行した。また、それ以外に各人の生活歴、既往歴、学歴、現病歴などの基礎的情報の聴取も行った。232名の高齢者に対して調査を行った。CDRに基づき結果を記載するとCDR0.5にあたる対象が52名、CDR1が50名、CDR2が52名、CDR3が25名、CDR4が3名であった。CDR0.5に関してはこれをアルツハイマー型痴呆と診断をするに辺り、MCIといった概念の登場もあり検討を加える必要がある。また、CDRの重症度に基づき分類すると人数にばらつきが生じており、この点も最終的にアルツハイマー型痴呆における進行プロセスをシェーマとして描き出すためには、検討の余地が残った。また、痴呆が重症過ぎたり、身体的な障害などのため(視力障害や聴力障害など)全ての評価尺度(主にMMSE)に解答できなかったものが50名であった。MMSEの合計点に関しては最高29点から最低2点、N-ADLに関しては最高49点から最低2点、柄澤式では当然であるが+1から+4までの分布が認められた。これらの各点数と診断との兼ね合いも再度検討する必要がある。平成15年度は今回の調査をもう一度見なおし、問題があった場合には再度の調査も考えている。また、今回得られたデータに関して評価スケール間の相関を検討し、今回使用した4つのスケールを1つのシェーマにまとめる事を最終的な目標として検討する予定である。
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