この研究は、未だ不明な点が多い成人T細胞白血病(ATL)の発がん関連遺伝子を、異常メチル化の観点からスクリーニングすることを目的としている。現在までに以下の新しい知見が得られた。 1.MCA/RDA法を用いてHTLV-IキャリアのDNAに比してATL細胞で高メチル化状態にあるDNA断片を53種類単離した。 2.単離したDNA領域のCpGメチル化の程度をcombined bisulfite restriction analysis (COBRA)法にて解析し確認した。 3.単離したDNA領域の近傍にある遺伝子の発現をRT-PCR法にて解析し、Kruppel-like factor 4 (KLF4)、early growth response 3 (EGR3)、Versican、prostaglandin D2 receptor (PTGDR)、beta-2 adrenergic receptor (ADRB2)などの遺伝子の発現がATL細胞株にて抑制されていることが判明した。 現在、以下の実験が進行中である。 1.上記の発現抑制を受けている遺伝子群のプロモーター領域におけるCpGの異常メチル化の有無をCOBRA法およびBisulfite sequence法にて解析中である。 2.上記の発現抑制を受けている遺伝子群のATL細胞株における機能解析のため、発現誘導実験を進行中である。
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