研究概要 |
当科で樹立した(14;18)を有するfollicular lymphomaの患者腹水中より樹立した細胞株(JMLと命名)、Molt-4細胞株を用いて、Naproxen, Indomethacin, EtodolacなどのNSAIDsを添加培養し、MTT assayを用いて2日後,4日後,6日後の増殖に与える影響を検討したところ、いずれの薬剤においても濃度依存性に増殖を抑制することが明らかとなった。 この際の増殖抑制の機序についてアポトーシスの関与を考え、フローサイトメトリーを用いてAnnexin-Vの発現を調べたところ添加培養後Annexin-Vの発現の増加が認められた。また、48時間後のDNAを抽出しアガロース電気泳動を行ったところDNAのの断片化が認められアポトーシスによるものと考えられた。 ウェスタンブロットを用いてカスパース3の活性化を検討したところ、Etodolac, Naproxenの添加によりプロカスパース3のcleavageが認められた。また、その下流域にあるDEF45/ICADが濃度依存性にcleavageが認められた。 さらにフローサイトメトリーを用いて生細胞中のカスパース3活性を測定したところNaproxen, Etodolac添加にて活性の上昇が認められた。また、同時にBcl-2の発現量の変化を検討したところをNaproxen, Etodolac添加培養にてbcl-2の発現の減少が認められた。 上記の結果からNaproxen, Indomethacin, EtodolacなどのNSAIDsはリンパ系細胞に対して、bcl-2の発現の低下、カスパース3を介してアポトーシスを誘導及び細胞周期停止作用により、抗腫瘍効果を持つことが明らかとなった。
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