研究概要 |
1、対象症例と白血病細胞の精製:対象は白血病特異的マーカーCD15+CD117+芽球または、CD34+CD56+芽球が初診時に陽性であった成人急性骨髄性白血病患者である。本年度は22例を対象とした。寛解判定時の骨髄液から単核球を分離、抗CD15抗体及び、抗CD117抗体、または抗CD34抗体及び抗CD56抗体で二重染色を行い、微少残存病変として二重陽性細胞をCell sorter(FACSVantage)を用いて分離、得られた残存病変に対し以下の検討を行った。 2、免疫細胞化学:サイトスピン標本を作成、抗PGP抗体、抗LRP抗体、抗Bcl-2抗体、抗Bax抗体、抗c-myc抗体を用いて染色した。PGP, LRPは高頻度に発現、C-myc, Baxは低発現、Bcl-2は中等度の発現であった。 3、FISH:微少残存病変のclonalityをFISH法で確認した。マーカー染色体が確認できる14例で解析を行い、13例でclonalityを確認した。 4、mRNAの解析:微少残存病変から抽出したRNAを用いて、RT-PCR法MDR1mRNA, LRPmRNA, WT1mRNAの半定量を行った。WT-1半定量により微少残存病変の追跡も行った。 5、Apoptosisの解析:微少残存病変を抗Fas抗体で染色してFas発現を解析し、また、坑Fas抗体を作用させ、AnnexinV染色、7AAD染色を行い、Apoptosis誘導の検討を行った。Fas発現は低く、Apoptosis誘導はされにくい傾向を認めた。 6、細胞周期解析:7-AAD/PY法による細胞周期解析を行った。芽球特異的表面マーカー(例CD15+CD117+芽球)を用いて4重染色を行い微少残存病変における細胞周期解析を行った。8症例において解析を行い、非白血病芽球に比較してG0-G1の細胞比率が高い傾向を認めた。
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