1)腎臓の遠位尿細管に特異的に遺伝子を発現させるためにマウスClC-CK1、ClC-K2、AQP-2輸送体遺伝子のプロモーター領域を単離した。ClC-K1のプロモターの下流にレポーター遺伝子としてGFP蛋白を接続してトランスジェニックマウスを作製し、遠位尿細管に組織細胞特異的なGFPの発現を確認した。さらにClC-K1の下流にCre-ER^Tを発現させるコンストラクトを作製、トランスジェニックマウスを作製した。現在このマウスにtamoxifenを投与することにより遠位尿細管特異的にCreを、任意のタイミングで発現させることができるかを検証中である。 2)遺伝性の腎性尿崩症においてAQP2水チャネルの遺伝子異常が原因として報告されている。これらの異常を含む発現ベクターを作製、培養細胞系に遺伝子導入し、実際の細胞内での変異蚕白の発現、挙動、機能を調べたところ、変異タンパクの細胞膜への輸送の異常が確認された。さらにAQP-2プロモーターの下流にこれらの異常を含むAQP2発現ベクターを作製、トランスジェニックマウスを作製したところ、partialな尿崩症を呈していた。現在変異AQP2のノックインマウスを作製中である。 3)転写因子Kruppel-like factor (KLF)のうちKLF12及びKLF15は出生後約2週の腎臓において発現し始める。腎臓の輸送体の細胞特異的な発現とKLFの関連を探るため、KLF12のコンディショナルノックアウトマウスの作製に着手した。loxP配列間にATGコドンを含むエクソンをミドルアームとしてノックアウトベクターを作製し、ES細胞に遺伝子導入、相同組み換えをおこしたESクローンを20以上得た。これらからキメラマウスを得ることに成功した。今後ノックアウトマウスを作製し、形質を検討する。
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