1)腎生検で診断され、発症から5年以上経過したIgA腎症患者のうち、今回は、同意が得られ、糖尿病や心疾患などの合併症を有さず、血圧のコントロールが比較的マッチした17例を対象とした。 2)血中総アドレノメデュリンおよび活性型である成熟型アドレノメデュリン濃度をRIA(IRMA)にて測定した。 3)患者末梢全血よりQIAGEN QIAamp Blood kitを用いてDNAを抽出した。 4)アドレノメデュリンのエクソン部分の6箇所のSNPを含むようにプライマーを設計した。 5)ABI PRISM 7700 Seequence Detection Systemを用いて、TaqManプローブを、設計したプライマーとTaqDNAポリメラーゼとともにPCRを行い、FAMの蛍光強度により、タイピングを行った。 6)血漿中総アドレノメデュリンおよび成熟型アドレノメデュリン値はそれぞれ16.8±1.4、2.9±0.6fmol/mlであり、クレアチニンクリアランスと負の相関(P<0.05)を示した。光顕組織上の重松分類による組織障害の指標との比較では、血漿中総アドレノメデュリンおよび成熟型アドレノメデュリンともに、急性障害(G)および進行度(S)の指標との間には、一定の傾向は認められなかった。 7)今回検討した17例において、アドレノメデュリンのエクソン部分の6箇所のSNPの保有者は調べた範囲でいなかった。今回は、比較的腎機能障害の軽い症例を検討したが、今後透析患者を含めた腎不全となった症例のSNPの出現頻度を調べるべきと考えられた。
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