血液透析患者ではサイトカインと透析患者の合併症の発生には密接な関係がある。なかでもHGFは組織障害が起きた際に血液中に分泌され、肝障害、動脈効果、悪性腫瘍などに対して抑制的に働きうることが考えられており、このHGFの血中濃度は血液透析中にも著名に上昇することが最近報告された。また、血液透析患者ではHGFの増加のため慢性C型肝炎が憎悪しにくいことも示唆されている。透析中の非生理的なHGFの上昇は、血液透析における動脈効果、悪性腫瘍などの合併症においても大きな役割をもっている可能性がある。当該研究では、血液透析患者におけるHGFの発現調節を明確にするとともに、その発現調節のコントロールを可能にすることを目的とした。 透析患者における至適透析度の指標として、透析患者の血清でのHGF濃度を固相酵素結合免疫測定法(ELIZA)を用いて測定する。 血液透析患者におけるHGF発現調節因子の検討 (2)体外循環、透析膜とHGF発現に関する検討 外来透析患者50名を対象とし、透析開始前、HGFが著名に上昇するとされている開始後15分後に採血を行い血中HGFを測定し、同じ対象で透析液を流さず血液回路、ダイアライザーへ血液を循環させる擬似透析で血中HGF変化するかを検討した。 (2)透析による諸因子とHGF発現に関する検討 血液透析による浸透圧の変化や除水による循環動態の変化がHGFの発現に影響を及ぼすか検討するため、除水を行わない透析のみ、また透析を行わない除水のみでHGFの変化を調べる。また、透析中に含まれるエンドトキシンがHGFの発現に関係している可能性がありエンドトキシンカットフィルターを用いて透析液中のエンドトキシンを除去しHGFの発現が変化するかどうかを検討した。
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