研究概要 |
研究実績の概要 本研究の目的は、アルコール曝露による視床下部・下垂体系の正常確立が逸脱する遺伝子発現パターンを同定し下垂体分化誘導遺伝子に対するアルコール作用点を示すものである。平成14年度はモデル実験動物を作成し、視床下部の神経ペプチドである成長ホルモン放出刺激ホルモン:GHRH、ソマトスタチン:SRIHに着眼し遺伝子発現の定量解析及び免疫組織化学法を用いて評価した。 1、胎生期へのアルコール曝露モデル 異なる2系統の妊娠マウス(DBA2/J, C57BL6/J)を用い、胎生11日齢から14日齢まで4日間連続して、1日あたり3時間アルコール蒸気に曝露し実験動物モデルとした。 2、周性期へのアルコール曝露モデル Wistar系雄ラットの新生仔を10日齢から15日齢まで6日間連続して、1日あたり3時間アルコール蒸気に曝露(血中アルコール濃度;約430mg/dL)し実験動物モデルとした。 本研究の予備実験では、胎生12日齢から16日齢にかけて外的環境要因としてX腺照射は、体成長及び中枢神経機能の発達に重篤な影響を及ぼした。本研究の胎生期マウスへのアルコール曝露動物では、DBA2/JよりC57BL6/Jで高い胎児生存率を示す一方で、GHRHとSRIH遺伝子発現頻度は正常胎仔よりアルコール曝露胎仔で遺伝子発現量にばらつきが生じた。遺伝子発現率の算出では、インターナルコントロールとして28Sribosomal RNA配列をハウスキーピング遺伝子(HKG)とした場合に、良好な結果が得られた。 以上の結果から、遺伝子発現量にばらつきが見られたことは、アルコールの刺激によりHKG発現が変動したと考えられ、視床下部・下垂体の胎生発達時期へのアルコール作用は、適切なHKGの使用により評価できると考える。現在、周性期ラットへのアルコール曝露動物の体成長・生殖機能の確立に着眼し解析中である。
|