申請者が属する研究グループでは、マウス胚の成長にとって重要な因子を分泌する子宮頚部扁平上皮癌細胞株SKG-II-SFを樹立しており、本研究では、この細胞の培養上清を使いin vitroでES細胞からインスリン産生細胞への選択的な分化誘導法の確立を目的として研究を進めている。 これまでに、マウスES細胞に、SKG-II-SF細胞の培養上清を作用させて、未分化な種々の臓器(膵臓、肝臓、消化管、血管、肺、神経、軟骨、皮膚など)の原基を誘導させることに成功し、さらに、ES細胞を、黒系BDF1(C75BL6×DBA/2)マウスの胚盤胞内細胞塊に移植しキメラマウスの作製に成功している。そこで、インスリン産生細胞へ分化していることを証明出来るように、インスリン遺伝子のプロモーターであるPdx-1の制御下でGreen Fluorescent Protein (GFP)遺伝子を発現させるベクターを、ES細胞に安定導入させた細胞株を作製することを目的として実験をおこなった。まず、CMVプロモーターの制御下でGFPを発現させるベクターを用いて、ES細胞への、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法など種々の遺伝子導入法を検討した。その結果、エレクトロポレーション法による遺伝子導入が最適であると結論した。さらに、種々の条件で、エレクトロポレーション法による遺伝子導入をおこない、ES細胞への遺伝子導入の至適条件を決定した。現在、Pdx-1プロモーター下流でGFP遺伝子を発現させるベクターを、作製導入中である。
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