研究概要 |
(方法)ラット腎より糸球体を分離し,3〜5継代を経てメサンギウム細胞を得た.Subconfluentまで培養した後,血清無添加とし24時間後,コントロール、PDGF添加培地(20ng/ml)、PDGF添加培地にFarnesyl Transferase Inhibitor (FT1277:5μM)を加えた群、GeranylGeranyl Transferase Inhibitor (GGTI286:5μM)を加えた群、HMG-CoA還元酵素阻害剤であるCerivastatin(2μM)を加えた群、Rho kinase阻害剤(Y27136:10μM)を加えた群と六群に分け,Westernblotting法にてMAPKの発現,Nothernblotting法にてTGF-βmRNAの発現を各群において比較検討した. (結果)1.培養メサンギウム細胞におけるPDGF刺激によるMAPKの発現 PGDF-BBは、培養メサンギウム細胞においてMAPKを活性化し、Cerivastatinは、これを抑制した。FTI277は、PDGF-BBのMAPK活性化に影響を与えなかったのに対し、GGTI286およびRho Kinase Inhibitor(Y-27632)は、これを抑制した. 2.培養メサンギウム細胞におけるPDGF刺激によるTGF-βmRNAの発現 PGDF-BBは、培養メサンギウム細胞においてTGFβmRNAの発現を促進し、Cerivastatinは、これを抑制した。FTI277は、PDGF-BBのTGF-βの発現に影響を与えなかったのに対し、GGTI286およびRho Kinase Inhibitor(Y-27632)は、これを抑制した. (結論)PDGF刺激によるメサンギウム細胞のMAPK活性化及びTGF-βの発現には、Geranylgeranyl化を主たる脂質修飾をする低分子量G蛋白質が介在し、Rhoキナーゼがそのエフェクターとして関与している可能性が示唆された. 以上平成14年度研究実績を報告する.
|