糖尿病は遺伝因子および環境因子が複雑に関与して発症・進展すると考えられている。単一遺伝子異常で糖尿病を発症することは稀であり、複数の遺伝子異常が組み合わさって糖尿病を発症しやすい素地を形成し、そこへ過食・肥満・運動不足などの環境因子が加わって糖尿病を発症すると考えられる。 その発症・進展に関する遺伝子は多施設において研究されているが、明らかな原因遺伝子についてはいまだ一定の見解を得られていない。その一因として対象の臨床背景の多様さが考えられる。臨床背景を明確にし、単一遺伝子、あるいは複数の遺伝子を組み合わせて解析することで、既知の遺伝子でも糖尿病との関連がより明確になる可能性がある。このため、患者の臨床背景と遺伝情報でデータベースを構築し解析を行う。 平成14年度では、東京女子医大糖尿病センターへ通院中の全患者を対象とし、臨床背景のデータベースを構築した。生年月日、性別、当科初診日といった患者基本情報、身長・体重・血圧といった身体所見、血算・生化学といった一般血液検査および血糖・尿糖・ヘモグロビンA1c・各種負荷試験などの血糖関連の検査情報、病歴、家族歴、糖尿病合併症、全身合併症、治療内容について、既存のカルテを基にデータベースを構築した。更なる情報収集を継続している。 患者臨床背景のデータベースを構築する一方で来年度は、糖尿病との関連を示唆されている遺伝子多型について検索しデータベースへ情報を統合して、解析を行う予定である。
|