研究概要 |
I.小動物(ラット)を用いた小腸移動モデルにおけるMAdCAM-1の発現 ラットでは急性拒絶反応が最も強く出るACI(RT1^a)ドナーからLewis(RT1^1)レシピエント(雄性,200〜250g)をドナーおよびレシピエントに使用し,同種異系同所性小腸移植を行った。この系の組み合わせでは,術後約1週間で拒絶反応がおこり,レシピエントはほぼ100%死亡する。この急性拒絶反応モデルを用い、タクロリムス非投与群において、MAdCAM-1の小腸グラフトにおける発現を検討した。 経日的に小腸移殖後のグラフト腸管を採取し、凍結標本を作成した。抗MAdCAM-1抗体(OST-2)を用いて免疫組織染色を施行した。 結果:MAdCAM-1の発現はグラフト腸管の粘膜固有層の小血管において、移植後4日目より発現の亢進を認めた。 II.同小腸移植モデルにおける抗MAdCAM-1抗体投与の抗拒絶反応効果 小腸移植後のレシピエントラットに対して、抗MAdCAM-1抗体(OST-2)を移殖後2日目より7日間連日、2mg/kg全身投与(静注)を行った。レシピエント生存期間に有意な差は認めなかったが、小腸グラフトのHE所見では、明らかにの拒絶反応のgradeを抑制していた。 今後の展開 1.抗MAdCAM-1抗体の投与実験。 2.syngenic modelにおけるMAdCAM-1の発現様式。 3.グラフト内リンパ球のα4β7インテグリンの発現(免疫組織染色)。 4.グラフト腸管粘膜内浸潤リンパ球の解析(フローサイトメトリー)。 5.皮膚移植試験などを用いて免疫寛容状態の解析。 上記研究成果を国内学会で発表する予定である。
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