【H14年度の実験】 1)正常肝細胞の小腸壁内への移植 200gのSDラットからコラゲナーゼ灌流法にて肝細胞を分離させ、その後50gの低速遠心を行い肝実質細胞を分離した。5×10^7個の肝実質細胞を1mlの燐酸緩衝液に浮遊させた。小腸壁内への移植方法は全身麻酔下のSDラット上腸間膜動脈を明らかにし、24Gの外套付き針にて直接穿刺注入した。抜針後、穿刺部位を5分間圧迫し止血した。移植後7日目にラットを犠牲死させ腸管を摘出し、H&E染色を行い小腸壁内における細胞の生着の有無を確認すると、血管内(動脈内)に島状に存在する肝実質細胞の細胞塊を認めた。 2)肝幹細胞の小腸壁内への移植 正常SDラットからアクチナーゼおよび密度勾配遠心法を用いた我々の既報に従って肝幹細胞(以下LEC)を分離した。肝実質細胞の移植と同様の手技で5×10^7個のLECを上腸間膜動脈から注入した。移植後7日目にラットを犠牲死させ腸管壁のH&Eおよびアルブミン、AFPの免疫組織染色組織染色を行ったがLECの生着は確認できなかった。 【問題点】 細胞の生着をが認められなかった要因として、ラット上腸間膜動脈は非常に細くまだ動脈経由による細胞移植の手技に安定性を欠くこと、また移植された細胞の門脈への流出や、移植細胞の拒絶といった可能性が考えられた。 【今後の予定】 今後は移植効率の向上を目的に細胞移植の手技の向上と免疫抑制剤を用いた細胞移植に取り組む予定である。
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