研究概要 |
現在,当科における原発性肝細胞癌の手術適応は,(a)遠隔転移を認めない,(b)大血管への侵襲を認めない,の二点である。しかしながら,原発性肝細胞癌の手術適応の世界的コンセンサスは得られておらず,各施設が独自の基準で,移植術を行っているのが現状である。今後,既存の病期分類による移植成績を調べるのみならず,その他に予後に関わる因子を解明すること,それらを術前・術後に評価可能かどうかを解明することは極めて重要である。 2002年12月までに当科で施行された68例の肝細胞癌の患者については、3年生存率56%、同時期非腫瘍症例の生存率は72%であった。再発は68例中8例に認められた。病理学的な検索からは、porに50%の再発が認められ(wellとmodは11.7%)、vp(+)では69.4%に再発が認められた(vp(-)では、6.6%)。 切除標本の免疫組織染色の手技を用いて,増殖マーカーKi-67やEpidermal growth factor,類洞特異マーカーthrombomodulinによる腫瘍の進展具合を評価し,収容の活動性の程度を分析は、これからの予定である。 また、癌免疫には,一般的にNK細胞の関与が言われている。術前・術後のNK細胞の数や活性を測定,評価することは,個人の癌免疫能を相対的に評価出来ることとなる。末梢血からのリンパ球の分離、RNAの単離などのテクニックは、初年度の今年、研究室内での予備実験を終え、ほぼ修得されてきたので、これから実際の患者サンプルを用いた本実験を始めたいと考えている。
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