・前実験 【目的】本実験においてマウス大腸癌肝転移モデルが実際に作成可能か、又、血管新生因子の免疫組織学的染色およびELISAを用いた血液中の蛋白質定量検査に適合するか検討する。【方法】5x10^3個、1x10^4個および1x10^5個のマウス大腸癌細胞CT-26cells(大阪医科大学消化器外科篠原尚先生より贈与)をBALb/cマウス(日本クレア社より購入)の脾臓(実験的肝転移)および盲腸(自然肝転移)にそれぞれ移植。移植後、3週間後にマウスを解剖し肝転移を測定した。【結果】脾臓移植群において移植後3週間目には全てのマウスに肝転移を認めた。5x10^3個移植群では平均肝転移数は50個以上であり平均の簡重量は4g(マウスの体重は22g)、1x10^4個移植群では平均肝転移数は100個以上であり平均の簡重量は6g(マウスの体重は20g)であった。両群での転移性肝腫瘍を取り出し、VEGF vascular endothelial growth factor抗体(コスモバイオ)およびマウスCD31抗体(コスモバイオ)を用いた免疫組織学的染色を行ったところ1x10^4個移植群で有為にこれらの発現の上昇が認められた。血液中のELISA法(フナコシ)を用いたVEGF蛋白定量においても同群で有為にVEGF蛋白の発現増加が見られた。 盲腸移植群では1x10^5個のCT-26cellsを移植した。移植後3週間目の平均肝転移数は5個であり約8割のマウスに肝転移が認められた。これらの群に対しても同様に免疫組織学的染色を行いVEGFおよび微小血管新生の発現を確認した。【考察】本実験において用いたマウス大腸癌細胞は自然肝転移および実験的肝転移を作成する上で非常に有効であった。又、血管新生抑制機構を介した転移抑制実験を行う上でVEGF/VPFおよびCD31を用いた免疫組織学的染色は有用と思われた。
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