研究概要 |
C3H/Heマウスを使用し,前・後肢の長管骨骨髄より平均1x10^7個の単核球を分離することができた.この単核球をGM-CSF、IL-4にて刺激し,7日間培養することによって樹状細胞を誘導することに成功した.しかし,導入された樹状細胞は平均3x10^3から1x10^4個と充分な数の樹状細胞を誘導することができていない.さらに,マウス癌細胞FM-3Aと誘導した樹状細胞とをポリエチレングリコール処理を行って融合する基礎実験を行った.ポリエチレングリコール処理中に樹状細胞の細胞障害が生じるため腫瘍細胞と樹状細胞との融合細胞を充分な個数を導入するには至っていない.したがって,融合細胞の確認をフローサイトメトリーにて行っているが,細胞数が少ないために樹状細胞と腫瘍細胞の両者の表面抗原を併せ持っているかどうか検討が困難であった.現在,肺癌および乳癌患者の末梢血より単核球を分離し,GM-CSF、IL-4にて刺激し,7日間培養することによって樹状細胞を誘導している.また,その個体の腫瘍片あるいは癌性胸水中より腫瘍細胞を単離して培養を行い,これを患者末梢血単球由来の樹状細胞とをポリエチレングリコール処理にて融合細胞を作成する実験を行っている.患者末梢血50mlより1x10^6個の樹状細胞を誘導が可能であり,これと単離培養した腫瘍細胞を1:5の比率でポリエチレングリコール処理することで,1x10^4から1x10^5個の融合細胞を作成可能であった.この融合細胞から細胞障害性T細胞(CTL)を誘導する実験を行っているが,融合細胞の寿命が現在のところ3〜5日と短命なため,CTL誘導には至っていない.
|